こんにちは、STYLE PHOTOSの奥竹です。
韓国単身赴任中の夫が「明日から正月だ〜」と、画面越しにうれしそうな顔を見せました。韓国では今年は2月9日〜12日がお正月休み 。現地では、ご家族でにぎやかに過ごすお家も多いことでしょう。
前回、毎年ファミリーフォトを撮影するアメリカ文化をご紹介しました。今回は韓国人男性とご結婚され、現在はアメリカに住む日本人女性Tさん、また数名の知人に「韓国の家族写真」のお話を伺ってみました。自然光を活かしたハウススタジオや、最近話題になったセルフ写真館、これらは実は韓国からやってきた写真ビジネス。その背景にはどんな文化があるのでしょうか?
オモニ世代は集まったときに家族写真を撮るのが好き
韓国でもご家族と数年暮らしたことがあるTさん。アメリカや日本のようにHoliday Cardや年賀状を送り合う習慣がなく、毎年決まって家族写真を撮ることはないそうです。それにも関わらず、日本より気軽に家族写真を撮る印象があるといいます。
「大家族で集まる機会が多い韓国では、オモニ(Tさんにとってのお義母さん)世代が、集まった機会に家族写真を撮るのが好きですね。スタジオでドレスアップして撮影することが多いです。撮った写真は、オモニが壁に飾って楽しんでいます。」
Tさんに見せていただいた「家族写真」。日本の写真スタジオで撮り慣れている私は、見てすぐに違いを感じました!「おばあちゃん、おじいちゃんが中央なんだ!しかも台に座ってかわいい♡」。この配置は日本ではとても珍しいです。特にお客様からリクエストがなければ、まず子どもが中心、その脇に両親、さらに脇に祖父母という配置が日本では一般的だからです。年功序列が重視される韓国社会だからか、もしくはお義母さんのご提案だったからか?それにしても、衣装がレトロな雰囲気のおそろいでかわいいですね。
別のご家族のお話では、教会(キリスト教)のサービスで毎年5月に家族撮影する機会があるそうです。キリスト教信者が人口の4分の1以上を占める、韓国ならではの撮影機会ですね。
どちらのご家族からも聞いたのは、ご実家のオモニ世代では撮影した写真は大きくプリントして、フレーム入りで飾られているということ。大家族で集まる機会が多いので、プリントした写真やスマホの写真を見せ合って楽しむことが多いそうです。また韓国で一般的なチャットアプリ、「カカオトーク」のプロフィール写真も家族写真が多いのだとか。
韓国ならではの100日文化と記念写真
韓国では古来より、100が「成熟、完全」を意味する数字だと伝えられてきたため、出産や交際などの100日前や後に祝い事を行なう風習があるそうです。当然、生まれてきた赤ちゃんも100日目は盛大にお祝いする儀式があります。日本の「お食い初め」にあたり、韓国では「ペギルチャンチ(100日祝)」とよばれます。無病長寿と幸せを願ったペギルボッ(100日のお祝い服)を着せ、豪華な食事と共に餅を2種類以上作るのが古くからの慣わしだそうです。
お祝いの餅は100戸の家に配ると子どもが無病息災で長生きし、幸福が訪れるといわれてきましたが、時代の流れとともにその儀式も簡素化されつつあるそうです。今では自宅で簡単にお祝いできる「ペルギチャンチ」セットを購入し、写真撮影だけで済ますご家庭も多いと聞きました。
「子どもが1歳になったときには、レストランで20〜30人を呼んでパーティーを開きました。赤ちゃんの前に、かなづち、サッカーボール、ペンなどを用意して、ハイハイして何をつかむかで将来の職を占ったりします。親子共にハンボク(韓国の伝統衣装)を着ました。」
1歳の誕生日は「トルチャンチ」とよばれ、それはそれは盛大に開催されるそうです。Tさんのように会場を貸りて100人以上の規模になることもあるといいます。きれいに飾られたお花、果物、そしてお餅。まるで結婚披露宴のようです。トルチャンチのメインイベントは「トルチャビ」とよばれる赤ちゃんの将来の占い。Tさんのお話にもありましたが、このイベントは日本と同じですね。赤ちゃんの前にさまざまな道具を用意して、何をつかむかで将来の職を占うというものです。一番つかんでほしいものはやはり「お金」だとか。
ちなみに日本では1升の餅を背負わせる「一升餅」というイベントもありますよね。写真スタジオに勤めていると、たまに風呂敷でお餅を持参されるご家族様もいらっしゃいました。背負わされた赤ちゃんはたいてい泣いちゃいますが、それがまた良い記念写真になります。
似ているけれど、ちょっぴり違う国、韓国。そして今やエンターテイメント、ファッション、美容に至るまでトレンド発信の地、韓国。
次回は、写真のトレンドにも触れたいと思います。 <韓国編 Vol.2>へ続く