Vol.8 世界は色彩で満ちている〜モンゴルで見つめ直した起業の原点〜

私にとって写真を撮ることは、「その土地・文化・人の固有の美しさ」を表現することにほかなりません。現在は起業家や経営者のポートレートを撮影していますが、その根幹にあるのは、それぞれの人の美しさ=STYLEを輝かせたいという想いです。

小さな事業でも、利益を出して継続できなければ、ただの趣味に過ぎません。するといつの間にか、「こうすれば稼げるか」「目を引くか」といった打算的な知恵ばかりが身につき、原点の想いから遠ざかってしまうことに気づかなくなります。今回のモンゴル旅行は、私にとって自分を見つめ直す時間となりました。

晴れの日ばかりじゃない

モンゴルといえば草原に青空、というイメージは、ゲル滞在初日に見事に打ち破られました。到着後、うす暗い空を眺めていると、不穏な雲と雷鳴が近づき、やがて大粒のひょうやあられが降り始めたのです。

ゲルの扉を開けると突風が吹き荒れ、視界は1メートル先も見えない大嵐に。ひょうはやがてゲリラ豪雨に変わり、ゲルの内側にまで雨粒がポタポタと落ちてきました。あわやゲル崩壊というその時、11歳のモンゴル少年2人が勇ましく現れ、私たちを救ってくれました。

大粒のひょうがゲルを襲う

こわれたゲルと大きな虹

少年たちの迅速な動きによって私たちのゲルは守られましたが、隣のゲルは無残にも崩壊。嵐の後、草原には川が出現していました。そして私たちの安堵の気持ちを映すかのように、空にはいつの間にか大きな虹がかかっていました。

隣の無人ゲルは崩壊した
大雨で出現した川
家畜たちを安全な場所へ誘導する

朝日が今日の命を動かす

翌朝は昨日の嵐が嘘のような、雲ひとつない晴天。吹き抜ける風が心地よく、人も家畜も、時計ではなく自然のリズムに従って動きます。その日の天候や風向きが、行動のタイミングと行き先を決めているのかもしれません。

目覚め出す動物たち
牛の親子の愛情
簡易的な水栓で顔をあらうおじさん

望遠レンズ越しの私と、少年の眼差し

誰の指示を受けるのでもなく、少年たちは状況に応じた家畜の世話をしていました。遠くの群れのそばには、おや、昨晩ゲルを守ってくれた少年が馬に乗っているではありませんか。超望遠レンズで撮影していると、彼はしっかりとピースサインを返してくれました。私には小さな点に見えた少年ですが、彼には私の表情までもがはっきりと見えていたのでしょう。

ひつじ飼いをしながら私のカメラに気づいた少年
ピースして馬を走らせるパフォーマンスが可愛いすぎる
ツーリストキャンプの手伝いから戻った年長の少年

いつまで見られるかは分からない満天の星

その夜は絵に描いたような満天の星空。しかしこの草原のすぐ近くでは、開発が進みつつあります。本来ならもっと星空が見えていたはず。来年、同じ場所に行っても、同じ光景が見られるとは限りません。

日没後の美しいひととき
まだ明るみも残る宵の星空

違いこそが価値、ありのままの魅力が美しい

これまで30か国以上を旅してきましたが、どの土地も発展とグローバル化ともに同じような街並みになっていることに、残念な思いを抱きます。有望な観光地には外国資本のチェーン店やホテルが進出し、「どこの国でも同じサービス」が得られるようになってしまう流れがあります。

首都ウランバートルは目覚ましい勢いで発展している

本当の魅力は、その土地の固有の風土や歴史が生み出すもの。これは人にも当てはまることでしょう。それぞれの人の価値観、経験、個性こそが、他には代えがたい魅力を放ちます。とりわけ経営者や起業家がもつ内なる想いやストーリーは、世界にひとつの社会を動かす力となります。

私はお客様一人ひとりが持つ魅力を、その人ならではのSTYLEとして表現したい。社会に伝える力となるように。今回のモンゴル旅行は、原点に立ち返り、想いを新たにする機会となりました。

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