いよいよ明日、6月22日(日)は東京都都議会議員選挙投票日です。
私が過去に書いたblog記事の中でかなり読まれているものの一つに、2024年7月「選挙ポスターは究極のプロフィールフォト〜都知事選にみるイメージの伝え方〜」があります。
常に一定数のアクセスがあるのですが、選挙期間が近づくとさらに多くの方が検索しているようです。そこで今回は都議会議員選挙を前に、近隣のポスターを見て回ってみました。
前回の記事にも書きましたが、選挙ポスターは「一瞬で伝わり」「見直しても伝わる」ものであること。伝えるものは政策、意欲、人柄。とても高度な究極のプロフィール写真だと思います。そのエッセンスは、一般のプロフィール写真に応用できる部分があると考えています。
<このjournalの内容>
1)公職選挙法の改正と、選挙ポスターに課せられた義務
2)北多摩地域6選挙区の候補者ポスター
3)党を表す色彩のインパクト
4)選挙ポスター写真のライティング、表情、ポージング
1)公職選挙法の改正と選挙ポスターに課せられた義務
最近、なにかと話題を生んでいる選挙ポスター。候補者に無関係のポスターが何枚も貼られたり、品位を損なうような内容のポスターが貼られた事件は記憶に新しいところでしょう。
その問題を受けて2025年5月7日に公職選挙法に、ポスター記載に関する義務が新設されました。

ごく当たり前の内容ですが、定められた規則に反するようなポスターを掲示した者には罰則が設けれたことにより、品位が保たれることが期待できます。
また条文の中に明記されている「公職の候補者の氏名を、選挙人に見やすいように記載しなければならないこと」。何気ない一文ではありますが、たしかに過去には名前よりもスローガンや想いが大きく書かれているポスターもあったように記憶します。
2)北多摩地域6選挙区の候補者ポスター
私の居住区の近隣、6選挙区のポスターを見て回ってみました。東京都内の北多摩地域の7市が含まれる選挙区ですが、自転車で1時間半もあれば回れる範囲です。
みなさんは、どの候補者のポスターが目に留まりますか?






3)党を表す色彩のインパクト
写真もさることながら、まず目に飛び込んでくるのは「色彩」ではないでしょうか?
選挙ポスターのメインカラーは「党の色」を表しているものがほとんどです。例えば「都民ファーストの会=緑」、「自民党=赤」、「立憲民主党=青」、「再生の道=紫」、「国民民主党=青と黄色」といった具合に統一されていることがわかります。




ただ同じ党に属する候補者ポスターをよく見比べてみると、同じ色でも微妙に違うことに気づきます。例えば「再生の道」の候補者ポスター。同じ紫でも候補者によって微妙に違いがあります。また「自民党」も赤だけでなく、ピンク系やブルー系と統一されていない感があります。
対してカラーコントロールが徹底して感じられるのは「都民ファーストの会」「国民民主党」でしょうか。「都民ファーストの会」の党首は言わずと知れた小池百合子氏ですが、装いも含めたカラー使いの上手さについては前回の記事で書きました。小池氏の意識の高さから、候補者にも緑色の指定を徹底しているのでしょうか。
「国民民主党」のウェブサイトには、ロゴ、キャラクター、カラーのガイドラインがしっかりと掲載されていました。それが候補者ポスターにも反映されて、統一感が生まれたのでしょう。
無所属の候補者は、打ち出したい政策を反映して色彩を決めているように思います。ただ先に挙げた各党は、純色に近い最も鮮やかな色を使っています。それらと重ならないためには、他の色を混ぜた混色となり彩度が下がります。純色ほどのインパクトがありませんが、近くからみると優しさや柔らかさといった雰囲気を醸し出しているようにも思います。

4)選挙ポスター写真のライティング、表情、ポージング
つぎにプロフィールフォトに大いに参考になる写真の表情やポージング。
ほぼ顔だけの候補者、胸元あたりまでの上半身写真の候補者とさまざまですね。顔だけといっても真正面か、横からか、口を閉じているか、開けているか。顔に影があるかないか。ささいな違いが大きな印象の違いを生み出すことに気づきます。
プロフィールフォトは一般的には少しななめに写し、顔に立体感と自然な陰影をつけます。ただそれは美しいライティングがあってのこと。強すぎる光の下で斜めから映すと、片方の顔が暗くなりすぎます。
顔をやさしく魅せたい人は、曇り空のようなやわかい光の下で。逆にシャープに魅せたい人は、少し強く硬めの光を選ぶとよいかもしれません。そのように光を自在にコントロールできるのは、もちろん自然光ではなく撮影用のライティングということになります。


撮影用のライティングを使っているかどうかは候補者の目を見ればわかるでしょう。まず目に光(アイキャッチ)がしっかり入っていて、よくみると撮影用のライトの形が見えたりします。
屋外で撮影した写真を、候補者ポスターに使用されている方もいます。自然の背景もデザインに取り入れて雰囲気よくすることもできます。ただデザイン要素が増えるので、文字が読みにくくなるデメリットがあります。
背景から切り抜いた写真を使用されている方もいます。その場合、撮影用ライティングのようにきれいに光が顔にあたっておらず、どことなく暗かったり、自然の色=緑が色被りしていることもあります。特にモノクロの新聞にポスターが載ったときには、どうしても顔が暗くなりがちです。
表情に大きな違いを生み出す「歯」。グローバル基準では、きれいな歯は自己管理の高さやステータスの証。公式なプロフィールフォトで歯を見せていることがほとんどでしょう。
ところが日本では歯を見せて笑うことに抵抗のある方が、未だにとても多いため、口を閉じていても不自然に感じません。これまで多くの方を撮影してきた経験からは、自分の表情がきれいな方法を選ぶとよいと思います。歯の色など気にしている方は、修整に頼るのもよいと思います。
ポージングは選挙ポスターではほとんど見えないため、アングルや顔の角度が重要です。お顔に対してやや上から撮るか、下から撮るか、ほぼ同じ高さで撮るか。被写体はカメラに対して真っ直ぐ立つか、斜めに立つか。


上から撮ると頭や目が大きめにチャーミングに映ります。下から撮ると胴体に比べて小顔効果がありますが、見下ろされているような感じにもなります。ほぼ同じ高さで撮ると自然な感じでまっすぐ向き合っている感じになります。
カメラに対する角度は、真っ直ぐに立つと顔が大きくしっかりと見えます。斜めに立つとシャープにかっこよく、少しスリムにも見せますね。
アングルや角度の微妙な加減は、顔型や体型のコンプレックスカバーになったり、見ている人に対する態度を表せたりするもの。それを味方につけて、上手に利用すると良いと思います。
何気なく見ている選挙ポスターも、このような視点で見てみると発見があるものです。またできればご本人の姿をしっかり見て、ポスターで謳っていることと相違ないか確かめたいですね。それを楽しみながら、忘れずに投票に行きましょう。
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